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2025年3月20日 (木)

おまえが悪いからだ

 一方的に暴力をふるい、その理由を問われて相手が悪いからだと言ったら、それは許されることかどうか。きっかけを作ったのが相手だった、というのは理由となり得るだろう。しかしそのきっかけの何倍も何十倍もの制裁を加えることが正当化されると、相手がこの世に存在しなくなるまでエスカレートするのを許すことになってしまう。独立したウクライナというものを許さないロシア、パレスチナを地上からなくすのが正しいと主張するイスラエルとアメリカを見ていると恐ろしい。

 

 そこに至るまでに怨みの連鎖があることを、専門家はしばしば理由に挙げる。そうなるとどちらにも自分を正当化する理由があるように見えてしまう。始めてしまった暴力の連鎖に対して、撃ち方やめ、を実行させるのは困難だ。強い方の自己正当化は戦いをやめることを認めさせない。息も絶え絶えの相手でも、存在そのものが悪だと断じているから、終われないのだ。だから停戦は強者にそれを飲ませなければ成立せず、難しいのだ。

 

 トランプの、戦い中止、停戦のための方策というのは、互いの仲介ではない。強い方に一方的に加担して、弱い方をぶちのめし、相手の無条件の降参を引き出すという方法である。たしかに放置するより結論が出るのは早まるし、簡単である。結果的に戦いが終わったのは自分の手柄だ、と自慢できる。トランプは弱者が嫌いだし、そんなものはおとなしく引き下がれば好いのだと思っている。そうすれば世の中は繁栄するものだと思っている。たぶん少数者、差別を受けているものは差別される理由があるものだと考えている。そんなものを尊重するから世の中がうまく廻らないのだと思っている。

 

 強いもの、大きいものこそが正しくて、弱いものはそれに従えば好いのだと思っている。その強いものこそがアメリカなのである。そのアメリカがなにを勘違いして弱者のために働かなければならないのだ、そんなことをしているからアメリカが世界からなめられて弱くなったのだ、と思うから、それを正そうとしているのだ。強いアメリカを再び、と唱えるのだ。彼にとって老人も病者もみな邪魔者である。いまに自分もそうなるなどと思っていないのだ。でも、必ずそうなる。プーチンもそうなる。早くなって欲しい。それで彼らが何かに気がつくことはないだろうけれど。

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