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2025年8月10日 (日)

卒業証書の不安

 伊豆の伊東市の市長が大学を卒業していたかいなかったのか、それで大もめにもめているらしい。こんなもの、卒業証書があろうがなかろうが、大学に卒業したという記録があるかないか確認すればすぐわかることで、どうしていつまでも真偽が問われているのか不思議である。卒業証書なんて、私だって今どこに行ったかわからない。探してみようと思ったことがないから、探せばあるかもしれないし、実家にあったままで、引っ越しのときに失われているかもしれない。もちろん就職試験のときには卒業見込み証明書を会社に提出した記憶があるから、多分卒業したと思い込んでいるが、三月には早めに寮を引き払ってしまったので、実際に卒業式に出た記憶があるようでないようで曖昧なのである。

 

 若いころ、単位が足らずに実際には卒業出来ていなかった、という夢を何度か見た。足りない単位は、たいてい体育の単位が足りないというのであった。どうでもいいと思っていたので実際に出席したのはわずかで誰かに代返を頼んだりして、きちんと単位をもらえるだけの出席をしていない。ほかにもどうして単位が取れたのが不思議なものにドイツ語がある。最後までちんぷんかんぷんであった。それが不安のもとで、こちらがどうでもいいと思ったことを体育やドイツ語の先生もどうでもいいと思って、たぶん単位をくれたはずだが、自信がないのである。だからそんな夢を見る。夢から覚めると心からほっとする。

 

 ご心配なく。もちろん卒業はしている。古い手紙や書類を整理していたら、卒業証書はなかったが、卒業証明書と取得した単位の一覧は見つけた。成績は悪いがその代わり、取れるだけの単位を、講義を受けたのにあえて試験を受けなかった一部を除いてことごとくきちんと取得している。けっこう真面目だったようだが、勉強はあまりしなかった。

 

 その反省が今頃になって放送大学の、歴史や文学や自然科学の基礎の講座をぼんやりと見ることにつながっているのだろう。ときどき学生時代の記憶がよみがえることがないではない。苦しんだ物理化学など、案外覚えていたりするから不思議だ。不勉強が身にしみるが、少しは学んだ下地があるから、いまなんとか面白く学べるのだと思う。学んだ尻から忘れるから、徒労に思えることもあるが、何もしなければもっと早くさまざまなものを失うだろう。まだ向こう側には行きたくない。

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