歴史に名を残す
石破首相は歴史に名を残すだろう。自民党を、解党的出直しを図ると主張して、ついに解党だけ成功して出直しはできなかった最後の自民党総裁として名を残すことになるだろう。いま国民は、自民党がどうなろうと別にかまわないと思う人が大勢になっている。自民党政府と国家の命運とは連動すると思っていない。誰よりも思っていないのは石破首相本人だろう。だから、首相の座に恋々とするつもりは毛頭ない、と明言しながら、世論の支持を頼みに延命できるかもしれないと夢想している。しかし世論なんてマスコミとSNSの作り出す空気でできているような代物で、風が吹けばたちまち雲散霧消する。そんなものにつかまり立ちしようとしても何の支えにもならない。
いま日本は国難の前に立っている。素人集団で東日本大震災の国難に直面して、日本を長く迷走させる原因となったどこかの党と同様、石破首相という人は与党内の少数派、つまり素人集団なのかもしれない。どうしていいかわからないし、わからないのに考えない、行き当たりばったりを続けているから何がしたいのかわからない。クリーンであることが自民党の中で目立ったから国民の支持を得たかもしれないが、そもそも少数派に誰も利権を振り向けたりしないから、結果的にクリーンだっただけに過ぎなかったのではないか。
いま国難とは何か。誰でもわかるだろうが、アメリカのトランプであり、中国である。そして、これから最も懸念されるのが、国家が不安定になることの結果としての経済破綻である。日本は国家が安定しているという信用の元に、大変な額の国債発行を積み重ね続けてきた。それでもなんとかなっていたのは、超低金利によって国債の利払いを最低限に抑えてきたからだ。それがインフレによって金利を上げざるを得ない状況になりつつある。しかも国家予算は国債発行をせずには成り立たない。しかしその国債を誰が引き受けるのか。
国家が不安定になれば信用が低下する。信用が低下すれば国債は引き受け手がなくなり、仕方がないから金利を上げざるを得ない。超巨額の国債は、たちまち膨大な利払い負担を生むことにつながる。いくら稼いでもその利払いに吸い取られていくことになる。いや、そもそも国債の引き受け手がなくなって、国家予算そのものが大幅削減を余儀なくされる。少子高齢化がますます進行する中で、福祉予算は大幅にカットせざるを得なくなる。弱者は生活に困窮し、社会不安が急激に増大する。社会不安が増大すればさらに国家の信用は低下する。まさかと思っていた国家の破綻は、それほどあり得ないことではないのだ。
石破首相は、そのつもりはなかったけれど結果的に日本を破綻させた政治家として名を残すであろう。国家のリーダーの想像力、推察力、決断力の欠如の恐ろしさを日本はあとで思い知るだろう。日本の少子化は、来るべきその未来の不安への無意識の先取り反応かもしれない。
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