執着と守り
梨木香歩の随筆を読んでいて、感じることのあったところに付箋をつけだしたら、付箋だらけになっていく。
執着と、守ろうとする意志の間は紙一重で、ただこの頑なさがプラスにもマイナスにも働いて、私の人生を仕様なく象っていく。
「守りたかった」ことはいくつもあった。それができなかった無力さに、立ち上がる気力さえなくすようなときもある。
それでもなんとか、声を上げていきたいと思うのは、きっとこれが、私たちの望んでいる社会のはずがない、という頑固な驢馬のような確信に、私自身が「守られている」せいなのかもしれない。
私だって執着も、守ろうとする意志もあったし、いまも守り続けているものがないではない。確かにそれが私の人生をかたち作っている。けれどもなんとか声を上げ続けるという意志を失って久しい。どうしようもない、なるようにしかならない、と思うあきらめた生き方を選んでそこに沈殿している。そこで受ける不条理に対しても、引き受けるしかないと思っている。
しばらく棚に戻していた永井荷風の『断腸亭日乗』をまた少しずつ読み進めている(現在ようやく第二巻の後半に入った)。荷風もこだわりの中に生きていて、欲望のままに生きながら、怒りをうちにためるとともに、それでも次第に何かをあきらめている気がする。
いろいろなことがだいぶ片付いたので、読書三昧にふけることができるようになった。出かける勢いをつけるために、手始めとしてできれば近場の温泉(下呂郊外のいつものところ)に二三日出かけようか。
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