『トイレット』
荻上直子監督の2010年の映画『トイレット』を見た。以前から見よう見ようと思いながら見そびれていた映画で、期待通りたいへんけっこうな映画であった。けっこう、というのはただおもしろいだけではなく、すべてのことをいちいち説明も理屈づけもせずに、ああ、こういうこともあるのだろうなと思わせ、そして自分なりのさまざまな解釈をする余地のある映画だということである。つまらない映画ほど登場人物に台詞としてだらだらと説明をさせたりする。
アメリカのある街が舞台で、メインの登場人物のうち日本人として登場するのはもたいまさこが演じるばーちゃんだけである。兄弟三人の母が亡くなる。その母が連れてきて同居していたのがばーちゃんで、彼らはばーちゃんを祖母だと思いながらも、その真実は生前の母から知らされていないのでわからない。
その兄弟にさまざまなことが起こる。ばーちゃんは英語がわからないのか、何を語りかけても無表情で、何を考えているのかもわからずに返事もない。しかしそのばーちゃんの存在が兄弟に影響を及ぼし始める。兄弟はさまざまにばーちゃんから見えたり見えなかったりすることで恩恵を受けていく。そして次第に彼ら自身が変わっていく。
終始無言のばーちゃんが唯一大きな声を発する場面があって、それが感動を呼ぶ。絶妙である。兄弟を演じる俳優が素晴らしい。そしてその素晴らしさ、きらめきは、もたいまさこの存在があってこそであり、見た後にいい映画を見たと思わせてくれる。
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