« 日本海を見ながら帰る | トップページ | しばらくの間不便になる »

2025年11月 5日 (水)

『やがて満ちてくる光の』

 旅に持参した五冊の本のうち、読了したのは梨木香歩の『やがて満ちてくる光の』というエッセー集だけで、あとはコリン・ウィルソンの『アウトサイダー』を二章まで読んだのみ。訪ね歩いた場所の印象を頭の中に収めるのにいっぱいで、しかも夜はたいてい酒を飲んでその日の疲れで眠ってしまう、ということの繰り返しで読書の余裕がなかったのだ。

 

 『やがて満ちてくる光の』という本は、梨木香歩の、若い頃からのごく短めの文章を集めて本にしたもので、大まかにテーマが分けられているものの、書かれた時間などは前後している。どんな雰囲気なのか、その断片を引用する。

 

 今の時代もまた、いや今ほど、人びとが--特に女性が--「自分」というものを求めている時代はないように思う。いざというとき頼りになり、ほんとうに必要なのは、実は恋人でも夫でもない、きちんと手入れされ、しっかりと世界に根を張っている「自分」なのだ。 だがこの「自分」というものはまた、実に精妙不思議な「生きもの」で、どんなに年を経ようが変わらない部分と、常に変化していく部分とを合わせ持った存在である。そのことが、どれほど「生きる」という事態をややこしく、またチャレンジングで飽きないものにしているか--時折疲労困憊するのだけれど。

 

 なかなか味わい深い。女性だからこその感懐であろうが、男だって男なりのそのような思いはあるのだ。というよりも、そういう思いのある人が「しっかりと世界に根を張っている」人なのだろう。

 

 一方コリン・ウイルソンの『アウトサイダー』はそういう世界の枠に収まらないで、というより収まることができないで生きる者の、さまざまな生き方、考え方のパターンを示しながら、彼の語る「アウトサイダー」とは何かを分析し、説明している。第二章で取り上げられている一人がヘミングウエイだ。私はきちんと文章で読んだのは『老人と海』と『誰がために鐘は鳴る』(これは映画も見た)くらいで、たまたまキューバに行った時、記念館になっている彼の住んでいた住居を見たこと、彼が飲んでいたというラム酒ベースのカクテル、「パパダイキリ」にいたくはまり、友人のF君と毎晩飲んだくれていた記憶ばかりで、この『アウトサイダー』に描かれているヘミングウエイに驚いた。驚いたと同時に、彼の初期の短編集が無性に読みたくなって、読みかけの本がたくさんあるのについ注文してしまった。

 

 今日は録画してあったドキュメントや高校講座、紀行やドラマや映画などを片端から見ていくつもりだ。同時に大量の洗濯物を洗濯する(二回で済むだろうか?)。曇りらしいがなんとか乾くだろう。放送大学のお勉強は一区切り着けてあるので、次は数日後から再開するつもりだ。忙しい。

« 日本海を見ながら帰る | トップページ | しばらくの間不便になる »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 日本海を見ながら帰る | トップページ | しばらくの間不便になる »

2025年12月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

カテゴリー

  • アニメ・コミック
  • グルメ・クッキング
  • スポーツ
  • ニュース
  • パソコン・インターネット
  • 住まい・インテリア
  • 心と体
  • 携帯・デジカメ
  • 文化・芸術
  • 旅行・地域
  • 日記・コラム・つぶやき
  • 映画・テレビ
  • 書籍・雑誌
  • 経済・政治・国際
  • 芸能・アイドル
  • 趣味
  • 音楽
無料ブログはココログ
フォト

ウェブページ