『丘の上の本屋さん』
2021年のイタリア映画、『丘の上の本屋さん』という映画を、いま見よう、すぐ見よう、と思いながら見そびれていたが、ようやくその気になって見た。評価はあまり高くない映画で、どうして評価が高くないのかはよくわかる。登場人物たちの人生の奥行きが描かれていないからだろう。それはこちらが勝手に想像するしかない。映画全体に大きな波風は何もなく、ただ丘の上の古い屋の店主がたまたま出会ったアフリカ移民の、本好きな男の子に本を貸し、次々に貸す本のレベルを上げながら彼に感想を聞き、店主なりのささやかな人生観を伝えていくというだけの展開が主要なストーリーだからである。ドラマがないといえばない。
でも、それでいいではないか、とわたしは思う。無数のこういう店主が、無数の大人たちが、無数の本好きな子どもたちに何かを伝えていくという、途絶えることのない営みの積み重ねが人間らしい人間を作り上げ、世の中の見えない芯棒を作り続けているのだということで、それがどれほど意味があって素晴らしいことかを知らない人たちが知らなくても、誰かがそれをわかっているということで好いのだ。
文章が読めない、そして書けない子どもたちが増えているという。そういうことは読めるように、書けるようにしてはじめてできるようになることで、その機会がどんどん失われていくことがどういうことか、想像力を働かせることのできない者たちがこの世を動かしているのだから仕方のないことであろう。日教組が密かに目指した日本人総愚民化が何十年もかけて達成された成果と言っていいだろう。
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