流通の目詰まり
政府は、ナフサは通常需要に対して足りていると言い、しかし現場ではナフサ由来の物不足と価格の高騰が起きていると、マスコミはさまざまな実例を挙げて報じている。では政府はウソを言っているのか。一部野党は政府の責任を問いたいところだろうが、そうやって騒ぎ立てるものほど実情を知らないのを過去たくさん見てきた。原因、理由をよく理解しないと適切な対策は打てないもので、ただ騒ぎ立てるような人間の言うとおりにしたら事態はさらに悲劇的なことになる。
昨日のプライムニュースでもこの問題を取り上げていた。イラン問題、ホルムズ海峡封鎖によって生じている現在起きていることと、エチレンプラント問題、そして仮需の問題などが重なっての目詰まりであるらしい。ナフサというのは、原油の成分の中の揮発性成分であり、ガソリンや軽油、重油など、燃料に使われているものを別として、化学製品の原料となるもののことを言う。通常はエチレンやプロピレンなどに分解して中間体とし、そこからさまざまな製品が作られていく。
エチレンプラントというのはそういう分解を行う大型の装置のことで、日本にはたくさんのエチレンプラントが稼働していたが、海外とのコスト競争の厳しさから次々に閉鎖するという状況が続いていた。気をつけていればそれらの記事を目にしていたはずである。しかも需要が低迷気味だったために現在いくつかの大型プラントが定期検収中である。つまり増産不可能な状態にある。だからナフサは確保できても急な需要には対応することができない。
足らなくなるかもしれないとなれば必ず仮需という現象が起こる。必要な原料の在庫が一ヶ月とか一ヶ月半分として、その先が心配だからと需要者が二ヶ月分三ヶ月分の確保をしようとすれば、たちまち供給不足が生ずる。ナフサは足りているという政府の発表に対して、需要家の物不足の悲鳴が生じているのはこういう要因が同時進行で起きているからである。こういう場合にどうするのか。優先順位をまず決めて、一つ一つ目詰まりを解消する方策を講じていくしかないのだ。そのためにはどこで何が本当に不足しているかの情報をしっかりと把握しなければ始まらない。もちろん命に関わる医療用の製品は最優先すべきだろう。
需要と供給のバランスが狂えば(ものの奪い合いが起これば)価格は高騰する。問題の解消がだいぶ先になりそうであれば多少は致し方のないことだろう。国産製造がないことでどれほど困るのか、たとえばコロナの時のマスクの問題で日本人は身に沁みたはずで、海外へ丸投げしていたツケがいま回ってきたのである。どうして丸投げしたのか。デフレが続いたからである。経営者はリストラし、給料を上げず、給料が安いから国民はものが買えず、売れなければ下げるしかなく、国産では採算が合わないからと何でもかんでも海外に生産を移し、国内を空洞化した。そのツケが回ってきているのだが、その責任を政府に求めても問題解決になどならない。ましてやその因果関係すらよくわからずに批判ばかりしている者に問題解決の方策などあるはずがない。
検収で止まっているエチレンプラントの再稼働(二三ヶ月後か)が始まれば、多分最悪の事態は多少緩和されるだろうという。そして仮需も一段落する。そしてまた喉元過ぎれば・・・ということになるのだろう。
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