顔のある文化
縄文遺跡から出土する土偶に強く惹かれていて、あちこちの出土品を収蔵する博物館では、土偶のコーナーをおもに眺めるようになった。岡本太郎が縄文土器や土偶を見てその芸術的価値を謳いあげたのはよく知られている。太陽の塔のモチーフは縄文や世界の同時期の古代的、原始的文化に触れて彼が創造したものだといわれる。
大阪の千里の万博あとに建つ歴史民俗博物館、通称民博は、世界の文化を地域別、時代別に、膨大な数の展示物を紹介していて興味深い。何年かに一度見に行く。そこで感じるのは、イスラムやユダヤ教、キリスト教の展示物の薄さである。そもそもそれらの一神教は根が共通していて、偶像崇拝を否定する。だから展示されているのは物ばかりであり、人間をあらわしたものがほとんどない。実際にイスラムの国では(トルコとウズベキスタンしか行ったことはないが)顔を表現したものに出会うことはほとんどない。モザイクタイルの美しさは確かにあるが、それは抽象そのもので、私には人間の生きた歴史をあらわす文化とは感じられない。
最も顔を感じた文化といえばバリ島で、イスラムの国インドネシアでありながら、バリ島だけはヒンズー教であり、印度的な偶像が溢れていて、こういうものに私はとても気持ちが揺すぶられた。そういう感性がたぶん土偶に惹かれることにつながっているのだろうと思う。まだまだ見ていない博物館が全国にあるはずで、一度見たところでも再び三度(みたび)見るとさらに興味が膨らむ。涼しくなったらどこへ行くか、調べることにしようと思う。
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