『范仲淹』
歴史を時系列に沿った事実の記述ではなく、人物に焦点を当てて、違う方向から光を当てるというような本を読む面白さをあらためて知ったので、『中国歴史人物選』(白帝社)という全十二巻のシリーズから五冊ほどを手に入れて読み始めている。時代順に、『西晋の武帝 司馬炎』『范仲淹』『明の太祖 朱元璋』『顧炎武』『林則徐』の五冊である。一番読みたいのは『林則徐』なのだが、一番おいしそうなものを後に回すのが私のスタイルで、『司馬炎』から読み始めた。しかし読み始めて数十ページで挫折した。あまりにも学術的で、当時の官制などが延々と詳しく書かれていて歯が立たない。たぶんもっと読み進めれば人物が動き出しておもしろくなるのかもしれないが、くたびれたので『顧炎武』に移る。顧炎武は明末、清初の学者であり、教育者である。半分近く読んだ。異王朝に変わる激動の時代に知識人がどういう行動をしたのか、それを彼の生涯を描くことで浮き彫りにしている。大分県の日田の、江戸時代の教育者、広瀬淡窓のことを連想したりした。
並行して読み進めた『范仲淹』が思いのほかおもしろかった。後世、北宋時代の名臣と讃えられた范仲淹の実像をわかりやすく記している。この本は既に読了。北宋、そして南宋という時代に興味がある。きっかけは『水滸伝』であるが、先日の中国ミステリードラマ『清明上河図』で描かれた開封府の様子からのイメージ、王朝内の権謀術数などが、より詳細にわかる。范仲淹という人物の、節を曲げない清廉で硬骨の生き方を、単純に賛美することなく描いて、北宋という時代が少しわかった気がする。名臣であったという評価が、実像であったのか、あとから作り上げられていった虚像であったのか、ものの見方で大きく変わるところが歴史の面白さかもしれない。
いま『林則徐』を読み始めた。イギリスのアヘンの押し売りに林則徐がどう対応したのかが主要なテーマになると思う。なぜイギリスはそのような後世に恥ずかしいようなことをしたのか、その時代背景について、ここで『中国の近代史』という大陸生まれの台湾の学者が戦前に書いた本を脇に置いて参照することにしている。併せて陳舜臣が書いた中国の近現代史、そして彼の『阿片戦争』という小説も、そのあと読もうと思ってる。この列強の理不尽さが日本の攘夷運動につながっていく。歴史はつながっている。
« いまは本当のことはわからないけれど | トップページ | 大雨 »


コメント