夕方無事わが家に到着した。わが家のすぐ近くの交差点でバイクと消防車の衝突事故があったらしく、家の手前で足止めを喰らったけれど、自分でなくてよかった。
これからまた日常生活が始まるが、リズムを取り戻すのに少し時間がかかるかも知れない。雑用もいくつかあるので明日は忙しい。
さて旅の私はまだ五所川原にいる。
斜陽館から数キロのところに立侫武多(たちねぷた)の館があるというので見に行った。公営の駐車場に車を置くと、入場券の半券を提示すれば二時間まで無料とのこと。目の前に大きな建物がある。入り口は向こう側なので建物をぐるりと半回りしないといけない。
何だこれは!と思うほどでかい。
下から見上げると首が痛くなるほど大きい。高さ二十数メートルあるという。想像していたよりもはるかに大きい。
展示している立侫武多は三体。三年使われてから破却されるので、ここに展示しているのは今年作られたもの、昨年作られたもの、一昨年作られたものの三体である。毎年テーマを決めてそれに基づいて冬から作りはじめるという。
青森県には30カ所以上ねぶた、またはねぷたの祭があるが、有名なのは青森のねぶた(横に大きい)、弘前のねぷた(扇形)、そしてこの五所川原の立侫武多である。
南部と津軽の軋轢があり、青森県は西と東に二つに別れると言われる。だからねぶたとねぷたと呼び名まで違うのである。その歴史的背景は聞いたことがあるけれど詳しくはない。
もう一つの立侫武多。実はこの後ろにももう一体あるがすぐ近いので、上からしか全体が見えない。
ある程度眺めてからエレベーターで四階まで上がる。それが最上階で、一番上から見下ろすことが出来る。
上から見るとこうなっている。豪華絢爛、たくさんの付属物がそれぞれに素晴らしい。
顔。
顔。
顔。
手。・・・いちいちいわれなくても見れば分かるか。
こんな絵がいくつも描かれている。とにかく色彩の洪水なのだ。
定時ごとにライトが消されて壁面の巨大スクリーンに立侫武多の歴史と実際の祭の様子が描き出される。立侫武多は一度廃れてしまい、技術も失われたが、1996年に図面が発見されて、二年掛けて再生したという。
祭の盛り上がりもよく描かれていた。いろいろなことに感情移入してしまって、ものすごく感動してしまい、涙があふれてしまって止まらなくなった。どうしてそんなに感動したのか我ながら不思議だったが、ハンカチが濡れるほどだったから半端ではない。明るくなったときにはちょっと恥ずかしかった。
下の「雲漢」の文字の意味は、天の川である。
建物の周りをこのような回廊がらせん状にめぐっていて、高さ違いの絵柄をじっくり見ることが出来る。ちょうどここが橋になっていて、この橋は跳ね上げて開くようになっている。
うしろの壁も開く。
そう、ここがすべて開いて展示されている立侫武多が引き出されるのである。立侫武多が町を練り歩けるように、電線などはすべて地中に埋設してあるというから徹底している。
五所川原と言えばこの人を忘れてはいけない。
大満足と感動の立侫武多館であった。近くへ来たら見ることをお薦めする。すごいです。