監督シェルドン・ウィルソン、出演ステファニー・ハント、サラ・ダクディルほか。
ホラー映画は好きではないのについ観てしまう。三流カルトのホラーには突っ込みどころが多くて、いちいちここが変だ、台詞が陳腐だ、などと独り言を言う(さすがに口には出さない・・・いまに声に出すようになる気がする)のが実は楽しいのかも知れない。
嵐のハローウィンには恐ろしいことが起こり、たくさん人が死ぬ、という伝説のある島へ三人の姉妹が渡ろうとしている。両親を交通事故で失い、頼るのは島に独りで暮らす叔母だけだったのだ。一番下の妹エマは両親と車に同乗していたが、奇跡的に助かっている。そのとき両親が事故で炎上した車の中で焼かれていくのを目の当たりにして精神を病んでいるらしい。その治療のためにも叔母を頼るしかないのである。
明日はハローウィンである上、いままさに嵐がやって来ようというときに、フェリーで島へ渡ろうとする三人を見た若者が、いま島へ渡るのはやめたほうがいい、と警告する。何かを知っているらしい。一番上の姉サラはしっかり者だが支配的である。真ん中のマーリーは直感で行動するタイプで、島へいくのはいやだといいだすのだが姉のサラに押し切られる。いつの間にかエマの姿が見えなくなる。彼女が問題(つまり足手まとい)であることが分かる仕掛けである。隠れているときに恐怖に耐えかねて叫んでしまうタイプだと分かる。実際にラスト近くで魔物を引き寄せてしまうことになる。
島に渡ると人影が見当たらないが、彼女たちを見ている視線を感じる。島の人びとは息をひそめて恐怖の時間をやり過ごそうとしている気配である。しかしこの時すでに恐ろしいことがつぎつぎに起こっていたのだが、彼女たちは知らない。
彼女たちの車が叔母の家の近くで突然ガス欠を起こす。しかも再びエマの姿が消える。エマには不思議な能力があるらしい。夢で過去や未来が見えてしまうらしいのだが、それをうまく言葉にできない。そのために不可解な行動をとるのだろう。なにかの気配を感じてパニックになる姉妹だが、ようやくエマを見つけて叔母の家に向かう。
そこで叔母の車を見つけた姉のサラが見たものは、眼をえぐられ、血まみれになった叔母の死体だった。あわてて叔母の家に逃げこむのだが、そこへやはり血まみれで命からがら逃げてきた女が転がり込んでくる。なにかが起きている。
こうして恐怖が高まっていくのだが、その元凶の正体が登場してしまうと恐怖は消滅する。えたいが知れないから怖いのである。
こうして三人は逃げ惑うことになるのだが、島には死体が累々、生き残ったわずかの人も生きのびるのに必死なために却って恐怖を呼び寄せていく。果たして三人姉妹はハローウィンの終わるまで生きのびることができるか。彼女たちに迫るものを倒すことができるのか。
しかし気がついてみたら嵐がやって来ないのである。雲行きの怪しさはずっと漂っているのに雨すら降らない。嵐のハローウィンに事件が起こるという伝説は嘘だったのか?多分俳優たちが雨に濡れるシーンを嫌がったのであろう。
伝説と魔物の姿がまったく整合性がないのもいただけない。おかげで怖くないホラーを観ることになって、いろいろと突っ込みどころ満載の映画を楽しませてもらった。カルト映画にしては映像と俳優の演技はそれほどひどくなかったのは救いである。