音楽

2011年11月29日 (火)

「黒の舟歌」作詞 能吉利人 作曲 桜井順

男と女のあいだには深くて暗い河がある
誰も渡れぬ河なれど
エンヤコラ今夜も船を出す
*ROW&ROW ROW&ROW
 ふりかえるな ROW&ROW

お前が十七俺十九忘れもしないこの河に
ふたりの星のひとかけら
流して泣いた夜もある
*くりかえし

あれからいくとせ漕ぎつづけ大波小波ゆれゆられ
極楽見えたこともある
地獄が見えたこともある
*くりかえし

たとえば男はあほう鳥たとえば女は忘れ貝
真っ赤な血潮が満ちるとき
失くしたものを思い出す
*くりかえし

お前と俺とのあいだにはふかくて暗い河がある
それでもやっぱり逢いたくて
エンヤコラ今夜も船を出す
*くりかえし

この歌が性的なものであることに気がつかない人はいないだろう。はっきり言えば性行為そのものをうたっていると言ってもいいと思う。それにつきる。
確かに男には女のことは分からない。女には男のことは分からない。
ただ言葉を尽くしても分からなかったことが、抱き合うことで一瞬で分かったような気がすることがある。しかし熱が冷めれば実は何も分かっていないことに気がつく。
そうして毎夜暗い河にふたりで舟をこぎ出すのだ。

2011年11月28日 (月)

「さらばシベリア鉄道」作詞 松本隆 作曲 大滝詠一

哀しみの裏側に何があるの?
涙さえ氷りつく白い氷原
誰でも心に冬を
かくしてると言うけど
あなた以上冷ややかな人はいない

君の手紙読み終えて切手を見た
スタンプにはロシア語の小さな文字
独りで決めた別れを
責める言葉探して
不意に北の空を追う

伝えておくれ
十二月の旅人よ
いつ・・・いつまでも待っていると

この線路の向こうには何があるの?
雪に迷うトナカイの哀しい瞳
答えを出さない人に
連いていくのに疲れて
行き先さえない明日に飛び乗ったの

僕は照れて愛という言葉が言えず
君は近視まなざしを読み取れない
疑うことを覚えて
人は生きてゆくなら
不意に愛の意味を知る

伝えておくれ
十二月の旅人よ
いつ・・・いつまでも待っていると  RE-フレイン

太田裕美がうたったこの名曲は心に残る。何度聞いてもいい。
この歌は女性の思いと男性の思いが交互に歌われている。日本にいる男性と遙かシベリアを旅する女性が、二人で過ごしていたときに言えなかった思いを互いに語りかける相聞歌だ。男なら「不意に北の空を見上げる」気持ちが痛いほど分かる。
女性は男性に「愛している。結婚してくれ」という言葉をかけてもらうことを待ち続けてついに待ちきれず、傷心の旅に出てしまった。男性には自信がない。彼女を本当に幸せにできるのか、彼女は本当に自分を愛してくれているのか。自分の気持ちはまなざしから読み取って欲しかった。愛していれば言葉はいらない、というが、女性はまず、愛している、ということの確認が欲しい。
「疑うことを覚えて、人は生きてゆくなら、不意に愛の意味を知る」。
二人の心の隙間を吹く風はシベリアの冬の風だ。
だが題名は「さらばシベリア鉄道」だ。
そして男性は「いつ・・・いつまでも待っている」。
彼女は帰るだろう。

最初「君は近視まなざしを読み取れず」の「近視」が聞き取れなかった。意味は分かるがちょっとここは変だ。